Column 大幸コラム
日本に対する両用(デュアルユース)品目の輸出管理を強化(レアアース)
日本に対する両用(デュアルユース)品目の輸出管理を強化
2026年1月6日、中国商務部は 「商務部公告2026年第1号」 として、日本向けの軍民両用(デュアルユース)品目の輸出管理を強化する新たな措置を発表しました。
これは中国側によれば 国家安全や防拡散義務の履行を目的とするもの です。
この措置が 発表(公布)された日=1月6日 から 即日施行 されています。
1月7日時点において本公告に関して、「日本の軍事力向上に寄与するそのほか一切のエンドユーザー・用途」などの定義に関する詳細な説明はなされておらず、規制対象が不明瞭となっています。
施行が即日となる理由
公告文書では明確に次のように定めています。
「本公告は公布の日より正式に実施する」
(中国商務部公告2026年第1号本文より)
公布日=2026年1月6日
施行日=公布日と同日(即日施行)
という形で、公告と同日から効力を持つことが明記されています。
中国の行政公告では、政策効果を早期に確保したい場合、公布日と施行日を同日にすることがあります。
今回のケースもその典型です。
規制の内容(ポイント)
対象と禁止措置
公告に基づき
日本向け軍民両用品目(軍事用途にも民生用途にも使える品目)について、
日本の軍事ユーザー、軍事用途、または日本の軍事力強化に寄与する最終用途への輸出が全面禁止 となります。
つまり、軍事関連で使用されうる両用品の日本向けの輸出が制限されるというものです。
法的責任の追及
公告では中国原産の関連両用品を転売・移転・提供した場合、法に基づき法的責任を追及する
という規定もあります。これには第三国経由の回避や迂回輸出も含まれる可能性があります。
施行日が即日であることの実務的意味
✔︎ 企業側の実務インパクト
2026年1月6日発表後、早速輸出許可申請や審査対応が必要。
公布後すぐ効力発生のため、準備期間がありませんでした。
日本向けの軍民両用品目の輸出(軍事転用可能なもの)に関し、審査拒否・発給停止または禁止措置が即座に適用されています。
✔︎ 貿易業務に与える影響
事前に許可が下りている輸出でも、軍事的な最終用途と判断される場合は対応が必要に。
すでに出荷準備中の取引があった場合でも、施行後は新たな許可・審査が課されうる可能性があります。
関連する国際的反応(補足)
日本側はこの発表に対し 抗議・撤回要求 を行っています。
中国側は「国家安全と義務履行のため正当な措置」と説明しています。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公告名 | 商務部公告2026年第1号 |
| 公布日 | 2026年1月6日 |
| 施行日 | 公布日と同日(2026年1月6日) |
| 対象 | 日本向け軍民両用(デュアルユース)品目 |
| 内容 | 軍事用途・軍事ユーザーへの輸出の禁止 |
| 実務影響 | 即時の審査・許可停止等が必要 |
1) デュアルユース品目とは?
デュアルユース品目とは
民間用途と軍事用途の両方で使える品目、技術、ソフトウェア、部材 のことで、兵器開発や軍事能力の増強に転用可能なものを指します。
今回の公告では、こうしたすべての品目について 日本側の軍事ユーザー・軍事用途、または軍事力増強に寄与する最終用途への輸出を禁止しています。
2) 影響が想定される主な品目・カテゴリー
中国当局が過去に管理対象としてきたデュアルユース品目や、専門家・報道が指摘する可能性のあるものは下記の通りです.
① レアアース・関連材料
中国は既に中・重希土類について輸出管理を強化しており、今回の措置でも重要な対象となる可能性があります。
対象例として挙げられる元素・材料
サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)
ジスプロシウム(Dy)、ルテチウム(Lu)
スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y) など
これらは 磁石、モーター、センサー、誘導システム、航法装置 などに使われ、軍事装備にも不可欠です。
② 化学品・特殊化学材料
兵器開発や半導体製造にも使われる化学物質
例:ガス類、高純度化学品、前駆体(例として半導体用ガスなど)
※中国当局発表や関連ニュースでは明記されていませんが、デュアルユース管理対象としてリストアップされることが多いです。
③ 電子部品・通信・コンピューティング
高性能コンピュータやプロセッサ
暗号化技術/セキュリティ関連ソフトウェア
センサーや誘導装置
これらは軍事指揮・制御・情報通信に用いられるため、輸出管理が強化される可能性があります(過去の管理リストに含まれるケース多)。
④ 航空宇宙・無人機関連
航空機部品、推進装置
UAV(ドローン)・無人システム関連機器
高度なナビゲーション・制御システム
AP通信などの報道では、こうした技術が対象となる可能性があると示唆されています。
⑤ 高性能機械・製造装置
高度な工作機械(例:5軸以上のCNC機など)
精密製造・検査装置
これは民間分野でも使われますが、軍事製造にも転用可能です(一般的なデュアルユースリストに含まれることが多いカテゴリ)。
3) なぜこれらの品目が対象となるのか?
デュアルユース管理は国際的にも以下のような品目を対象とすることが一般的です:
戦闘装備・支援装備の製造に必要な基礎素材
軍事通信・情報処理に不可欠な電子技術
戦術・誘導装置・センサー等の技術
航空宇宙・衛星・兵器システム関連技術
中国の公告も、このような国際的な輸出管理の枠組みと整合しつつ、日本向け軍事用途への供給を防ぐ意図です。
4) 現時点での不確実性
現時点で中国商務部は具体的な番号付き品目リスト(HSコードなど)を公表していません。
「デュアルユース品目」というカテゴリーのまま規制がかかっている
実際にどのHSコード・製品が禁止対象になるかは、当局の審査・ガイドライン次第という状況です。
5) 日本側への影響の観点
報道・専門家コメントによると
レアアース関連の制限は、日本経済・産業に一定の影響を与える可能性 が指摘されています(日本は依然中国産依存が高い分野もあるため)。
半導体関連材料・化学品などはサプライチェーン上重要であり、供給不安要因になる可能性があります。
6) まとめ(影響の可能性がある品目)
| 品目カテゴリー | 内容(例) | 想定される影響 |
|---|---|---|
| レアアース・関連材料 | Sm、Dy、Tb 等 | モーター、磁石、兵器部品 |
| 化学・材料 | 半導体用ガス、高純度化学品 | 半導体製造等 |
| 電子部品・ソフト | 高性能コンピュータ、センサー、暗号ソフト | 通信・情報システム |
| 航空・無人機関連 | UAV、航空機部品 | 航空宇宙用途 |
| 精密装置・機械 | Workstation、精密工具 | 製造・検査装置 |
(※ 具体的な品目リストは現時点で未公表)
現時点で懸念がない場合でも、今後の状況変化により新たにリスクが顕在化し、供給リスクが判明した場合には、WEBページ上でお知らせいたします。
